40万円未満のパソコンだったら一気に経費にできる⁉少額減価償却資産を税理士が解説致します!

パソコン

先日、新しく法人を設立した社長さんからこんな相談を受けました。

事業で使うパソコンを購入しようと考えていますが、やっぱり30万円未満のパソコンを買った方が節税になるので良いですよね?

今まででは30万円未満のパソコンのような減価償却資産を購入すると【中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例】が適用できて、器具備品として耐用年数にわたって減価償却する必要が無く、購入した事業年度に一気に消耗品費として経費計上することが可能でした。

そのことから節税目的で敢えて30万円未満になるように選択して商品を購入される方もいらっしゃいました。こういう私も事務所のパソコンを購入する際に30万円以上にならないように気を付けています💦

しかし近年の異常なほどの物価上昇が影響して、30万円未満に抑えることが困難になってきました。

そこで令和8年度の税制改正大綱では、少額減価償却資産の取得価額について、現行の「30万円未満」から「令和8年4月1日以降に取得した資産は40万円未満」へと引き上げることとされました。

これにより30万円台のパソコンを購入しても消耗品費として一気に経費計上することが可能です。

今回は少額減価償却資産について詳しく説明致しますので、もう少し高い事務用品を購入したいけど困っていると言う方は是非このブログをお読み頂けたら幸いです。

1. 少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例について

⑴制度の概要

中小企業者等が少額減価償却資産(詳細は下記⑶に記載しています。)を取得して事業の用に供した場合において、少額減価償却資産の取得価額に相当する金額を損金経理し、また法人税申告書に別表16(7)【少額減価償却資産の取得価額に関する明細書】を添付して申告することで、当該少額減価償却資産の取得価額に相当する金額を損金の額に算入することができます。

⑵適用対象法人

資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人である中小企業者(発行済株式総数の1/2以上を資本金の額が1億円を超える大規模法人に所有されている法人などは除かれます。)で青色申告書を提出し、常時使用する従業員数が500人以下の法人が対象とされています。

なお、事業年度開始の日前3年以内に終了した各事業年度(基準年度)の1年当たりの所得金額が15億円を超える適用除外事業者に該当する場合には、上記の特例を適用できませんのでご注意ください。

⑶適用対象資産

上記⑵の中小企業者等が取得した減価償却資産で、取得価額が40万円未満(事業供用日が平成18年4/1~令和8年3/31の場合には30万円未満)の資産が対象となります。

少額減価償却資産に該当するか否かの取得価額の範囲を下の表にまとめましたたので、参考にしてみてください。

事業供用日 10万円超
30万円未満
30万円超
40万円未満
40万円以上
平成18年4/1~
令和8年3/31
少額減価償却資産 非該当 非該当
令和8年4/1~
令和11年3/31
少額減価償却資産 少額減価償却資産 非該当


パソコンやモニターのような器具備品や機械装置だけでなく、ソフトウェアのような無形減価償却資産も少額減価償却資産の対象となります。また新品だけでなく中古資産も対象となります。

⑷適用上限額

中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例の適用を受ける事業年度における少額減価償却資産の取得価額の合計額が300万円を超える場合には、300万円に達するまでの少額減価償却資産の取得価額の合計額が限度となります。

なお、令和8年4/1以降にこの上限が400万円に引き上げられるか否かはまだ公表されていないため、情報を取得次第このブログを更新致します。

【事例】
税込経理を選択している3月決算法人の会社がR7年10/1に事務所のパソコンを全て買い換えました。一台当たりの購入金額が税込価額275,000円の場合には何台まで少額減価償却資産として一気に経費計上できますか?

3,000,000÷275,000=10.9090…⇒10台まで
11台目からは通常の減価償却資産として耐用年数にわたって減価償却することになります。

⑸具体例

少額減価償却資産の改正前後の取り扱いを具体例を挙げて説明致します。

【事例】
令和8年4/1に330,000円(税込価額)のパソコンを購入しました。仕訳(税込経理)を教えてください。

①改正前

器具備品 330,000円 / 現金預金 330,000円 ⇒ 耐用年数にわたって減価償却する必要があります。

②改正後

消耗品費 330,000円 / 現金預金 330,000円 ⇒ 一気に経費計上することができます。

なお、税抜経理を採用している場合には税抜価額40万円未満の減価償却資産が対象となるため、仮に税込価額418,000円のパソコンを購入しても税抜価額では380,000円になり少額減価償却資産の対象となります。税抜経理を採用するメリットの1つと言うことができます。

2. 取得価額が10万円未満の消耗品等

取得価額が10万円未満の消耗品や使用可能期間が1年未満の消耗品は上記1の少額減価償却資産に該当せず、取得に要した金額の全額を業務の用に供した事業年度の経費に計上できるためご注意ください。

【事例】
令和8年5/1に88,000円(税込価額)のモニターを購入しました。仕訳(税込経理)を教えてください。

消耗品費 88,000円 / 現金預金 88,000円 ⇒ 一気に経費計上することができます。

3. 一括償却資産

⑴一括償却資産とは⁉

取得価額が10万円以上20万円未満の減価償却資産を取得した場合において一括償却資産として経理処理すると、当該一括償却資産の取得価額を3年にわたって償却することになります。具体例を挙げて説明致します。

【事例】
3月決算法人の会社がR8年10/1に税込価額198,000円のパソコンを購入してすぐに事業供用しました。一括償却資産として経理処理した場合の税込経理の仕訳を教えてください。

①R8年4/1~R9年3/31の事業年度(事業供用日を含む事業年度)

10/1 一括償却資産 198,000円 / 現金預金   198,000円

3/31 減価償却費   66,000円 / 一括償却資産 66,000円

【注意】
通常の減価償却資産の減価償却と異なり月数按分をしないで、一括償却資産の取得価額×1/3が減価償却費として経費計上されます。したがって期首に購入しても期末に購入しても同じ金額が減価償却費として計上されます。

②R9年4/1~R10年3/31の事業年度(事業供用日の翌事業年度)

3/31 減価償却費   66,000円 / 一括償却資産 66,000円

③R10年4/1~R11年3/31の事業年度(事業供用日の翌々事業年度)

3/31 減価償却費   66,000円 / 一括償却資産 66,000円

⑵一括償却資産を3年以内に譲渡した場合

一括償却資産は上記⑴で説明した通り3年にわたって減価償却されますが、もし3年以内に譲渡・滅失・除却した場合には一般の減価償却資産と会計処理が異なりますので注意してください。

なんと譲渡・滅失・除却した場合でも3年にわたって償却されることになります。具体例を挙げて説明致します。

【事例】
3月決算法人の会社がR8年10/1に税込価額198,000円のパソコンを購入してすぐに事業供用しました。しかしR9年9/30にパソコンが壊れてしまい廃棄しました。購入時に当該パソコンを一括償却資産として経理処理した場合の税込経理の仕訳を教えてください。

①R8年4/1~R9年3/31の事業年度(事業供用日を含む事業年度)

10/1 一括償却資産 198,000円 / 現金預金   198,000円

3/31 減価償却費   66,000円 / 一括償却資産 66,000円

②R9年4/1~R10年3/31の事業年度(事業供用日の翌事業年度)

3/31 減価償却費   66,000円 / 一括償却資産 66,000円

⇒R9年9/30にパソコンが壊れてしまい廃棄しても何も仕訳をせず、決算整理仕訳で一括償却資産の取得価額×1/3が減価償却費として経費計上されます。

またR10年3月期の貸借対照表には一括償却資産として66,000円(未償却残高)が資産計上されたままになります(実際のパソコンは既に無くても資産計上されます)。

③R10年4/1~R11年3/31の事業年度(事業供用日の翌々事業年度)

3/31 減価償却費   66,000円 / 一括償却資産 66,000円

⑶固定資産税(償却資産)の申告対象について

40万円未満だったら少額減価償却資産として全額を経費計上することができるため、一括償却資産をわざわざ選択する必要が無い気がしますが…。

確かに10万円以上20万円未満の減価償却資産を取得した場合には少額減価償却資産も選択できるため、3年にわたって償却する一括償却資産を選択して会計処理する意味が無いと考えられます。しかし税理士事務所スプリングでは10万円以上20万円未満の減価償却資産は可能な限り一括償却資産として会計処理をするようにしています。

なぜなら一括償却資産を選択することで当該減価償却資産を固定資産税(償却資産)の申告対象外とすることができ、お客様の固定資産税の負担を減らすことができるためです。

固定資産税(償却資産)の申告対象をR8年4/1以降に取得した減価償却資産の取得価額ごとに下記の表にまとめたため、参考にして頂けたら幸いです。

償却方法 10万円未満 10万円以上
20万円未満
20万円以上
40万円未満
40万円以上
全額経費計上 申告対象外
一括償却資産 申告対象外
少額減価償却資産 申告対象

4. 弊所の取り組み

いかがでしたでしょうか?今回は令和8年度の税制改正で多くの企業に関係がある少額減価償却資産の改正内容だけでなく、消耗品費として全額経費計上ができる取得価額10万円未満の消耗品の取り扱い、一括償却資産について詳しく解説致しました。

税理士事務所スプリングでは毎年の税制改正の内容を踏まえて、お客様に普段の面談で最新の情報を提供できるように心掛けている事務所になります。ご相談等がございましたらお気軽に下のお問い合わせボタンからご連絡頂けたら幸いです。

最後までブログをお読みくださり誠にありがとうございました。引き続きよろしくお願い致します。