保険契約を活用した資金調達⁉ 資金繰りにお困りな方はお読みください!

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経営者の大きな悩みが3つあると言われています。それは売上・人・資金繰りです。これらはどれか一つでも悪化してしまうと、解決できない限り経営は失敗してしまいますが、今回はその中でも一度窮する事態に陥ってしまうと中々改善することが難しい資金繰りに焦点を当ててみたいと思います。

資金繰りについてお悩みの経営者で、加入している生命保険契約がある方に是非読んで頂きたい内容となっています。資金繰りの悩みが少しでも軽くなれば幸いです。

1. 資金繰り

会社を経営する上で資金繰りは切り離せない問題となっています。事業を始めると多くの資金が必要となります。社員を雇うと毎月給与の支払いが生じますし、事務所の賃料も高額になりがちです。また卸売業や小売業のように商品を仕入れて売却する事業の方は仕入れの支払いから売掛金の回収までの資金回収の期間が必要となり、運転資金の確保のためにも資金繰りの計画をしっかり練ることは重要となります。

資金繰りは問題が生じていない時は特に気にならないですが、一度支払いが厳しくなると どんどん負のスパイラルに陥ってしまい改善することは困難になってしまいます。特に開業したばかりの新設法人の場合には経営者が営業も兼ねている会社がほとんどで、資金繰りが厳しくなると営業や事業のことよりも金融機関への返済期日、給与支払い日、仕入先への支払期日等の支払い期限の方に頭がいっぱいになってしまい、事業の成長に支障が出てしまいます。

資金繰りの悩みに時間をかけても将来にかけて何も付加価値を生み出さないため、早期に資金繰りの悩みを解決し本業に専念できる環境を整えて頂きたいです。

資金繰りが厳しくなった場合には多くの経営者は銀行からの融資で資金調達をする選択をしますが、最初は借りることができても返済不可能と判断されると融資を受けることが難しくなってしまいます。しかし生命保険契約に加入していた場合には、銀行以外からでも資金調達は可能です。

2. 保険を解約した場合

もし経営者が生命保険契約に加入していたら、資金繰りが苦しくなって生命保険契約を解約すると解約返戻金を取得することができます。しかし解約をしてしまうと死亡保障が無くなってしまい、保険に加入した目的が節税目的だけでなく、将来の保障のためである場合には保険に加入した意味がなくなってしまいます。

また将来において資金繰りが回復し再び加入したいと考えても、年齢や健康状態によっては再度新規に保険に加入することが難しくなる可能性もあります。一時の資金繰りの解決案にはなっても、将来の保障の点でデメリットが大きい手段と言えます。

保険料払い込み期間が満了する前に保険を解約した場合には、元本割れ(解約返戻金が今まで払い込んだ保険料の全額よりも少ないことを意味します。)することが多いです。損をするために保険に加入した訳ではないため、計画性のない生命保険の契約の解約はすべきではありません。

3. 契約者貸付制度

生命保険契約の契約者貸付制度を利用すると死亡保障は維持したまま資金調達を行うことが可能となります。この制度では一般的に解約返戻金相当額の7~9割の金額を、保証人も不要で利用目的も問われず何度でも借り入れすることができます。

銀行の融資のために審査が必要となる訳ではないため気軽に資金を調達することできるというメリットがあります。また契約者貸付制度は明確な返済期限がなく、資金繰りが回復してから返済するという形を取っても問題ございません。

※生命保険を長く契約していて解約返戻金が溜まっている場合にしか契約者貸付制度は利用できませんので、ご注意ください。

4. 留意事項

契約者貸付制度は上記のように資金繰りが厳しい時に資金調達の方法の一つとして利用できる方法ですが、次のようなデメリットもありますのでご注意ください。

⑴支払利子

保険会社から契約者貸付制度を利用して借りることができた借入金には利息が複利でかかってしまいます。そのため資金繰りの問題が解決し安心したことで保険会社からの借入金を返済することを忘れてしまっていると、気づいた時には返済すべき金額が多額になってしまうリスクはあります。

⑵保険の失効

上限の範囲内であれば何度でも借り入れ可能と言えども、元利金が解約返戻金を超えると保険が失効してしまいます。生命保険契約を解約して解約返戻金を取得した上記2と同じ状態になってしまう前に、資金繰りの改善策を練って早めに返済する必要があります。

⑶保険金の受け取り

契約者貸付制度を利用している状態で満期保険金や死亡保険金を受け取った場合には、借入金及び利子相当額が受け取る保険金の金額から差し引かれます。この場合には単に満期保険金や死亡保険金の前受けとして資金を受け取ったという形になりますので、ご注意ください。

5. その他の手法

資金調達でお困りの方は保険以外でも下記のような方法もありますので、参考にして頂けたら幸いです。

⑴リスケジュール

リスケジュールとは、金融機関からの借入の条件を変更することです。金融機関の承認を得ることができると、毎月の返済金額を減らしてもらったり、元本返済を一定期間猶予してもらえる可能性があります。

しかしリスケジュールを行っている間は、新たな融資を受けることが極めて困難になってしまうというデメリットもあるため、注意が必要です。

⑵売掛金の回収

売上は悪くないのに資金繰りに苦労されている事業者もいます。そのような会社は売掛金の回収がきちんとできていないケースが多いです。売掛金を回収するには、支払いの遅れが発生した際にきちんと督促をするか否かが重要となります。

ちなみに弊所のお客様でも確定申告などのスポットの案件の報酬に関しては、何人か支払期限が過ぎてしまうお客様もいらっしゃいます。その際に該当するお客様に支払期限の翌日に未だ支払われていない旨を連絡すると、失念していたとの返答を受けすぐに支払って頂けています。

1日でも遅れたらすぐ連絡することを徹底するのが売上金の滞納を防ぐ一番の方法だと言われていますので、売掛金をなかなか回収できていない事業者の方がいましたら参考にしてみてください。

6. まとめ

資金調達の手段は一つでも多い方が、いざ資金繰りに困った際に焦らずに対処することが可能となります。留意事項はありますが、生命保険契約の契約者貸付制度はきちんと返済できればデメリットは少なく有効な手段だと思いますので念頭に置いて頂けたら幸いです。

しかし金融機関からの融資やリスケ、生命保険契約の契約者貸付制度の利用により資金繰りが改善しても、本業で利益をあげる体制にならない限り何も解決していません。再び資金繰りで悩まないようにするためにも、資金繰り管理の厳格化を進める必要があります。

税理士事務所スプリングではお客様の一番の相談役になるため、税務以外のご相談も可能な範囲内で対応するように努めております。ちなみに弊所の連携先に保険会社もいます。普段は法人や個人事業主のお客様の節税対策や、経営者の方の相続対策として保険を組み合わせることで税金面でも保障面でもメリットを享受することができるため、利益が多く出ている方や豊富な資金をお持ちのお客様に保険の加入を推奨していますが、逆に資金繰りが厳しくなってしまった場合には連携先の保険会社のノウハウも活かして契約者貸付制度を利用したり、積み立て型の終身保険から掛け捨て型の定期保険に転換するなどアドバイスもしています。何かお困りごとがございましたら、お気軽にご連絡ください。